日本一下品な方言【甲州弁】を山梨県民がネイティブなニュアンスで標準語に変換

山梨県

筆者の独り言

新潟県民以外で『潟』の字を100%正確に書ける人、ほぼ居ない説。

 

 


下品な方言としてワースト1位の【甲州弁】を、山梨県民である私がネイティブな感覚で解説します。

 

日テレの『月曜から夜ふかし』で甲州弁は全国で最も下品と放送されたのを見て、世間からの評価に驚きました。

 

言われてみれば思い当たる節もありますが、微妙なニュアンスも理解している山梨県民の感覚で甲州弁を解説します。

需要があるか分かりませんが、是非最後までお付き合いくださいませ。

 

ちなみに番組内で発言された「はんでめためたごっちょでごいす」は甲州弁を誇張する為のフレーズで、こんなのは来賓のおじいちゃんでも使いません 笑

 



甲州弁を標準語に変換  例文集

テレビ番組でたまに甲州弁がピックアップされる時、よく「おまん、こっちん来(こ)おし」というフレーズが使われます。

意味としては「お前、こっち来て」

 

現実に使う場面では「おまん、こっち来お」です。

こっちんの「ん」は入りませんが、これはチ〇コを意識した明らかな番組の脚色です。

 

「オマエ」と言われたら普通ムッとしますが、ここでいう「お前」は温かみのある「お前」です。

「君」でも「あなた」でもなく、親しみを込めたニュアンスを含んだ二人称の「お前」です。

 

「おまん」は主に家族間や親しい間柄、又は上司から部下など年上の人が年下に使う場面が多いです。(同級生間でも使う)

年下から年上に「おまん」とは、基本的に呼びません。

 

山梨市 フルーツパークの夜景

 

おまんとうは、屋根明後日に行くだか?

訳「お前等、3日後に行くのか?」

 

「とう」は複数形なので、少なくとも二人以上に対して用います。

「自分達」の事は「オレんとう」と言います。

 

屋根明後日は明々後日(しあさって)と同義なので、3日後の事です。

同じ山梨でも地域によっては4日後の事を指すかもしれませんが、通常は3日後として認知されています。

明後日に屋根が付いて3階建てにグレードアップする=3日後になるという考え方です。

 

「行くだか?」の「だか?」はドラゴンボールの牛魔王が幼年時代の悟空に「武天老師さまを知ってるだか?」というセリフで使ってたので、割と広く理解されてると思います。

たぶん山梨以外の地方でも「だか?」は使われてると思いますが、牛魔王の田舎色を出す演出として「だか?」が採用されたのだと思います。

 

 

ちょびちょびしちょし&わにわにしちょし

訳「調子に乗るなよ」&「悪ふざけするなよ」

 

ほぼ同義語ですが、何というか「ちょびちょび」は小学生以下のチビっ子に対して使い、「わにわに」は中学生以上に対して使うイメージがあります。

「ちょびちょび」はいたずらっ子に使うけど、「わにわに」はヤンキーに対して使う感じです。

 

幼い頃「わにわに」をクロコダイルの方の鰐だと思ってましたが、年を取るにつれ「これは違う」と認識したのを覚えてます。(当たり前w)

 

なお、「しちょし」の「ちょ」は否定形で「するな」という意味です。(最後の「し」は甲州弁特有の語尾)

例)心配(しんぺー)しちょし → 心配しないで

 

 

しわい

訳「憎たらしい、ムカつく」

 

「しわい」は地域によって「しゅわい」です。

私は「しゅわい派」ですが、比率的に「しわい派」が優勢な気がします。

 

使用例は「あいつ、ムカつくよな~」って時に「あいつ、しわいら~」という感じになります。

 

語尾の「ら」も甲州弁ですが、これは質問する時に用います。

飲むでしょ?→飲むら?

行くでしょ?→行くら?

 

昔ダウンタウンの音楽番組「HEY×3」で、静岡県出身の久保田利伸さんが「飲むら~?」という静岡の方言のエピソードを話してた事から、山梨以外でも使います。(長野の人も使う)

 

 

てっ!

訳(予想以上だった時の)「えっ!」

 

これは一時期ブレイクして流行語になる勢いでしたが、驚いた時の感嘆詞です。

『サンクチュアリ』という都会的なヤクザ漫画でも「てっ!」は作中の底辺カメラマンが使ってたので、山梨以外でもおそらく使われてるはずです。

 

どちらかと言うとプラス方向で予想以上だった時に使われ、「てっ! 良かったじゃんけ!」という風に使います。

 

 

あいたぁ、ちっといなようじゃねえけ?

訳「あいつは、ちょっと頭おかしいんじゃないの?」

 

これは標準語の名残りが少しだけあるので、県外の方でもギリギリ解読できるかと思います。

 

甲州弁は単語と接続詞を省略的にドッキングさせる事が多く、「あいつは」が「あいたぁ」になります。

例)してくれよ→してくりょぉ

何を言ってるの?→なにょぉ言ってるで?

 

「いなよう」は「異な様」です。

主に非常識な人に向けて使います。

 

人単位ではなく、店単位でも使われます。

店員の接客態度が悪い店があったとしたら「あの店、ちっといなようじゃんな~」と腹立ち気味にディスります。

 

また「いなよう」は、病気・怪我で身体がおかしくなってしまった方、素行が悪くなった人、人間関係のもつれにも使われます。

 

・脳梗塞で倒れてから、頭がいなようになった。

・転んで右足を骨折してから、歩き方がいなようになった。

・中学に入って変なヤツ(ヤンキー)と付き合う様になってから、いなようになった。

・旦那が浮気してから、あの家のしんとう(人たち)は、じょうぶ(とても)いなようになった。

 

全く関係ないけど、とあるチェーン店の長野県伊那店を「いな店」だと幼少期は勘違いしてました 笑

 



肌感では、昭和50年以前生まれの人しか日常で甲州弁を使わない

山梨県民だからといって、全員が甲州弁を使う訳ではありません。

高齢者は男女問わずほぼ100%使いますが、若年層では甲州弁を使う事=気恥ずかしいという風潮があるので、あまり使いません。

 

肌感では、昭和50年以前生まれの男性だと抵抗なく甲州弁を普通に話す様に思います。

女性の場合は更に5歳上の昭和45年以前生まれくらいじゃないと、日常で使わない印象があります。

 

JR甲府駅前 武田信玄公像

 

私は昭和50年以降の生まれですが、基本的に家族間でしか使いません。

小学生や中学生時代には同級生間でも使ってたけど、なんとなく高校生くらいから徐々に使わなくなりました。

 

外出先だとより使わなくなり、都内などに行った時は絶対使いません。

東京はしょせん地方出身者の集合体ですが、それでも自分が山梨の田舎者だと思われる事に抵抗があります。

 

何年か前にバスタ新宿で山梨方面の乗り場付近で待ってたら、女子中学生らしき子が一緒に居た友人女性に「席を替えてくりょー」と言ってたのを聞いて、とても親近感が湧きました。

東京都内で偶然聞く地元の方言は、なかなか良いものですね。

 



甲州弁は基本的にタメ口のニュアンス  文法的に語尾で敬語か否かを決定付ける

甲州弁に敬語の要素はほとんどなく、基本的にタメ口です。

会社の上司に「これ、明日までにやっとけば良いずら?」と発言したら、失礼に当たります。

 

敬語らしい敬語は無いけど「明日、空いてるんですか?」という会話があったとしたら、「明日、空いてるですか?」という様に「ん」が省略されます。

行くんですか? → 行くですか?

あるんですか? → あるですか?

 

ただこれはビーバップハイスクールの持田リョウも、作中で主人公の加藤ヒロシと揉めた時「なんか文句があるですか?」と言ってた事から、他の地方でも使われているはずです。(ビーバップは作者が福岡県出身で、舞台はどう考えても神奈川県)

 

 

タメ口か否かは、文法的に語尾によって分かれます。

そして甲州弁の語尾は「ずら」「ら」「し」「さー」に大別されます。

 

精進湖の逆さ富士

 

語尾 ずら

甲州弁の定番「ずら」は、確認の時に使います。

明日行くずら?→明日行くんでしょ?

これ、幾らずら?→これ、幾らなんだろ?

もう寝るずら?→もう寝るんでしょ?

 

「ずら」は日常で使用頻度が最も高いです。

まだ甲州弁に染まりきってないライトユーザーの小学生でもよく使います。

 

「ずら」は山梨以外でも、長野・静岡・名古屋で使われています。

初期のこち亀で、派出所に道を訊きに来た端役のおじさんも使ってたので、もしかしたらもっと他の県でも使われているかもしれません。

 

 

語尾 ら

先程も出てきた「ら」は質問する時に使います。

明日行くら?→明日行くんでしょ?

ビール飲むら?→ビール飲むよね?

あの人の顔、菅総理に似てるら?→あの人の顔、菅総理に似てるよね?

 

「ずら」と同じ様な使い道ですが「ら」は一文字しか無いので、話す内容によっては語感が悪くなります。

「これ、幾らずら?」なら良いけど、「これ、幾らら?」では明らかに変です。

 

山梨県民は無意識の内に「ら」と「ずら」を、話す内容によって使い分ける感じです。

 

 

語尾 し

「し」は相手のアクションを促す時に使います。

宿題やっとけし→宿題やっといてね

安いから買っとけし→安いから買っといた方が良いよ

汚いから洗えし→汚いから洗えば?

 

「し」は、やんわりとアクションを促す時に使います。

広義では命令形のカテゴリですが「命令形」ほどの強制力は無く、言うなれば準命令形といった感じです。

 

冒頭に書いた「来おし」は「来い!」ではなく、あくまで「来てね」です。

 

そして「来おし」の場合は、緊迫した場面では使いません。

例えば山梨県警の警察官が、鑑識の人に「殺人現場の現場検証に来おし」とは発言しないはずですし、その際は「来てくりょう or 来てください」になるはずです。

 

どちらかというと楽しい場への誘いが「来おし」で、「日曜日、パーティやるから来おし」の様な使い方が一般的です。

 

 

語尾 さー

「さー」は、物事や予定がある事を知らせる時に使います。

明日仕事さー → 明日仕事でね

鍵が掛かってて中に入れんさー → 鍵が掛かってて中に入れないんだよ

来週土曜日公開の映画があるさー → 来週土曜日公開の映画があるんだって

 

語尾の「さー」は県民の感覚では普通過ぎて標準語だと思ってますが、れっきとした甲州弁です。

「さー」は、ちょっと沖縄っぽい語感がしますね。

 

あまり甲州弁感が無いので、LINEやメールでも普通に使われる語尾です。

ちなみに標準語の「それでさー」の「さー」とは、意味が違います。

 



山梨県民は甲州弁を下品だと思ってない

甲州弁は下品だと言われてますが、当の山梨県民は下品だと思っていません。

若者が甲州弁を使わないのは「下品だから」ではなく、ただ単に何となく気恥ずかしいからだと思います。

 

山梨のおじさん・おばさんは、日常で当たり前に使ってる甲州弁を「下品だと思う概念」すら持ってなく、何だったらそこまで標準語離れした言語ではないと思ってます。 ええ。

 

テレビなどで甲州弁が下品だという事を放送して、そこで初めて「下品」と評価されてる事に気が付きます。

しかし山梨県民は排他的で他所の意見を受け入れにくい人種ですから、「他の県で、もっと下品な方言あるらにw」と考えがちです。

 

山梨県は山に囲まれた地理的条件で、実際に人が住んでるのは県土内陸部のごく限られた場所に集中しています。(県土の8割近くが森林)

それもあってか鎖国的な価値観を持ち、井の中の蛙大海を知らずの所があります。

 

他県から引っ越してきた方を「来たりもん(よそ者の意)」と、マウントする様な呼び方を未だにしています。

トンネルを掘ってなくて、隣県との行き来が大変だった頃の名残がある感じがします。

 

 

やや話が脱線しましたが、甲州弁は茨城や東北っぽい訛りは無く、イントネーション的には標準語とほぼ同じです。

部分的な単語が独特の甲州弁であるだけで、それを除けば基本的に標準語ベースです。

 

標準語に近い方言として使ってるので「甲州弁なん、ほんねん下品じゃねーら?(甲州弁なんか、そんなに下品じゃないでしょ?)」というのが、山梨県民の総意である様に思います。

 

 

ブログ始めた頃から、いつか書こうと思っていた甲州弁の記事が書けて良かったです。

けっこう長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。

 



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