FXの世界では一定以上の含み損になると、【強制ロスカット】という絶対的な取引ルールが執行されます。
為替相場が大きく動いた時に、強制ロスカットで相場からの退場を余儀なくされるトレーダーはゴロゴロ居ます。
損失額が一定以上になると強制ロスカットが発動するので、ルールを完全に理解していないままトレードを続けるのは非常に危険です。
大切な資金を守る為にも、完全に理解した上で相場に臨みましょう。
強制ロスカットされる仕組み 「証拠金維持率」を考える
強制ロスカットがどんなモノなのかは、トレーダーの皆様なら知っておられるかと思います。
しかし、具体的なルールを人に教えられるほど熟知されてる方は少ない様に感じます。
一般的なルールとして、強制ロスカットは証拠金維持率が100%以下になると発動して、問答無用で成行決済されます。
FX会社によっては100%以外に設定してたり各社のルールは同一条件ではない場合がありますが、概ね「証拠金維持率が100%に近付いたらヤバい」と覚えておけば間違いありません。
「証拠金維持率」とは何なのか?
これはFX口座に入金してる現金を、保有してる通貨の必要証拠金の累計で割ったものです。
例えば現金100万円を口座に入金してて、為替レートが100円のドル円を1万通貨(1ロット)保有してるものとします。(損益プラマイゼロとして)
この場合の計算式は【証拠金維持率=口座資産100万円÷4万円(ドル円の必要証拠金1ロット分)✖100】
これを計算しますと2500%になりレバレッジが1倍の状態なので、どんなに暴落しても強制ロスカットされる事は絶対にありません。(通貨がデフォルトしない限り)
複雑に書いてありますが、100円のドル円を完全に自腹(100万円)で買ってる状態です。
FX口座内で自動計算されてるので口座情報を見れば現状の証拠金維持率を確認できますが、御自身が保有してる通貨があと〇〇円暴落すると証拠金維持率は何%になるのか?
という事を事前に察知する上で、計算式を覚えておく必要があります。
よく聞く「追証」とは? そして緊急時に入金する額は?
暴落相場になると、よく「追証」という単語を聞きます。
これは追加保証金の略で「おいしょう」と発音します。
追加保証金とは、強制ロスカットされるレベルにまで落ち込んでしまった証拠金維持率を回復させる為に必要な現金の事です。
地獄の沙汰も金次第で、ピンチの時でもお金さえ有れば強制ロスカットを回避する事が可能です。
普段から強制ロスカットを避ける為にはスキャルピングならともかく、数日以上保有するならレバレッジは3倍以下で運用するのが望ましいでしょう。
為替相場では毎日数時間毎に何らかの指標が発表され何かあるとすぐ乱高下するので、高いレバレッジは非常に危険です。
重要な指標発表などによる、一時的に拡大するスプレッドにも要注意です。
もし追証が発生した場合は、いくら入金するのか?
例:現金100万円で、為替レート100円当時に買ったドル円を15万通貨保有してて、円高で97円まで下がり【ー45万円】の損失が出てる状態。(ややこしいので、スワップとスプレッドは無視)
この例の状態だと、【証拠金維持率=口座資産55万円÷60万円(ドル円の必要証拠金15ロット分)✖100】で、証拠金維持率は【91.66・・・%】になります。
最低限必要な証拠金維持率100%を割ってしまいました。
証拠金維持率を100%にまで回復させるには追証をいくら入金する必要があるか?
口座資産の額を保有してる通貨累積分の必要証拠金と同じにすれば良いので、このケースの正解は【5万円】です。
とはいえ5万円入金したところでギリギリ首の皮一枚で繋がってるだけに過ぎないので、実際ではもっと入金して安全な証拠金維持率に回復させる必要があります。
FX会社によっては、証拠金維持率の不足がニューヨーク市場のクローズ時間に判定されて、夏時間だと日本の早朝6時・冬時間は日本の朝7時となります。
日本時間の朝6or7時に証拠金維持率が不足してると判定されたら、各社の指定する時刻までに追証を入金しないと強制ロスカットされます。
※注意すべき点は、クローズ時刻以降に為替レート自体が回復して証拠金維持率が100%以上になっても、それとは関係なく強制ロスカット執行時刻までに追証の入金が必要です。
この証拠金維持率の判定システムが無く、時刻に関係なく単純に100%以下になったら即時に強制ロスカットされるFX会社が多いので、御自身の運用してる口座の取引ルールを必ず確認しましょう。
FX会社 各社の強制ロスカットルールを比較
強制ロスカットのルールはFX会社毎に、多少の違いがあります。
代表的な各社のルールをまとめてみました。
・DMM FX
証拠金維持率の判定:毎営業日クローズ時点(夏時間は朝6時、冬7時)
この判定で証拠金維持率が100%未満だと、強制ロスカット候補になる。
回避するには、翌営業日の早朝4時59分までに追証を入金。
・FXプライムGMO
証拠金維持率の判定:毎営業日クローズ時点(夏時間は朝6時、冬7時)
この判定で証拠金維持率が100%以下だと、強制ロスカット候補になる。
回避するには、23時55分までに追証を入金。
なお強制ロスカット執行猶予時間内であっても、証拠金維持率が80%未満になると即アウト。
・マネーパートナーズ
証拠金維持率の判定:毎営業日クローズ時点(夏時間は朝6時、冬7時)
この判定で証拠金維持率が100%未満だと、強制ロスカット候補になる。
回避するには、18時までに追証を入金。
なお強制ロスカット執行猶予時間内であっても、証拠金維持率が40%以下になると即アウト。
・みんなのFX
クローズ時点での証拠金維持率判定システムは無し。
証拠金維持率100%以下で強制ロスカットされる。
・LIGHT FX
クローズ時点での証拠金維持率判定システムは無し。
証拠金維持率100%以下で強制ロスカットされる。
・ヒロセ通商
クローズ時点での証拠金維持率判定システムは無し。
証拠金維持率100%未満で強制ロスカットされる。
・セントラル短資FX
クローズ時点での証拠金維持率判定システムは無し。
証拠金維持率100%未満で強制ロスカットされる。
他多数のFX会社でも、強制ロスカットのルールは似たり寄ったりです。
御自身が運用されてる口座の強制ロスカットルールを、今一度確認してみましょう。
FXの手法が長期保有なら、低レバレッジが必須!
FXの強制ロスカットはそうそう発動するものではありませんが、長期保有してると為替相場が急変する場面に必ず出くわします。
普段では気にする事もない証拠金維持率ですが、異常な円高・円安相場では不安になるほどの数字になります。
来たる場面に備えて、実効レバレッジは3倍以下に抑えておくのが無難です。
不安な方は1倍台でも良いと思います。
FXは最大25倍までレバレッジを掛けれる特性がありますが、長期保有するなら何が起きるか分からないので低レバレッジでの運用は必須です。
よくTwitterなどで強制ロスカット報告がツイートされますが、低レバレッジなら耐えれたと思われるポジション量だったりするので、荒れ相場でも生き残る為には安全なレバレッジに留めておきましょう。
長期保有では、リーマンショックやコロナショックなどの暴落相場にも耐えれる様な資金管理が必要です。
最悪中の最悪を考えるなら、2015年1月15日の『スイスフランショック』の事例もあります。
これは2019年1月3日のフラッシュクラッシュの比ではなく、なんと20分間で41%も急落しました。
ドル円に換算すると105円で推移してたものが、たった20分間で62円ほどまでに急落するという大惨事です。
常識的に考えて有り得ない事象ですが、為替相場ではこうした場面も起こり得るのです。
本記事では証拠金維持率だの追証だの小難しい事を書きましたが、強制ロスカットを避けるためには、適切な資金管理が必要です。
強制ロスカットされる方が出ない事を願って止みません。
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