日本人が好きな食事として、寿司が上位に挙げられると思います。
いつからか海外でも寿司店が乱立して、生ものが苦手そうな外国人でも日本の「SUSHI」を好んで食べています。
寿司を食べる際、素手で食べる人がけっこう多いですが、客観的に見てあれは食事マナーとしていかがなものかと思う事があります。
そこで今回は寿司を素手で食べる文化を考察しました。
調べたところ、様々なルーツや地域差がある様です。
寿司を素手で食べるのは、食事マナー的にいかがなものか?
グルメ番組などで芸能人はもちろん、一般の方が寿司を食べる場面をよく見かけますが、その時に寿司を素手で食べる人が居ます。
体感ですが30%ほどの方が、素手で食べるように感じます。
これは食事マナーとして考えると、ちょっと気になります。
例えばの話、茶碗に盛ってあるご飯を素手で食べたら下品に感じると思います。
もしあなたと一緒にレストランで食事してる人が、とんかつ定食でも海老フライ定食でも素手で全部食べてたら引くと思います。
でも寿司に関しては、素手で食べる行為が広く認識されてます。
食事マナーとしてアリかナシか調べたら、寿司を素手で食べる事は全く問題が無いとの事です。
それどころかむしろ、寿司に限っては素手で食べる事が推奨されてます。
実際の統計結果は
【素手で食べる 30%】 【箸で食べる 70%】
結果は箸派が優勢になりましたが、マナー的にどちらも正しいので自分に合った食べ方で美味しく頂きましょう。
全国的に見て、寿司を素手で食べる派が多い地域は?
寿司を素手で食べるか否かは、地域差があります。
寿司を素手で食べる人が多い県
群馬県 山梨県 島根県
素手派が多いのは上記3県の結果になりました。
山梨と島根は人口が少なくて、群馬と山梨は海無し県という共通点があります。
素手で食べる理由としては、寿司を逆さまにしてネタに醤油を付けやすいからという事が主です。
確かに箸で寿司をひっくり返すとネタとシャリが離れたり、やりにくいです。
近年では一滴ずつ滴下できる容器の醤油があるので、こちらを使うとシャリが崩れず食べやすいです。
素手派と箸派が半々の県
岩手県 和歌山県 香川県 山口県 大分県 長崎県
この6県は、素手派と箸派で半々に割れてます。
岩手を除けば、西日本勢です。
寿司の食べ方は特に決まってなくて、各世帯でバラバラなのでしょう。
ちなみに長崎県は漁業に携わる方が多く、漁業就業者数が北海道に次いで全国2位です。
残りの38都道府県は、箸で食べる派が優勢です。
中でも愛知県と滋賀県では、箸で食べる人がほぼ100%を占めてます。
東京と大阪では比率がほぼ同じで、3分の2くらいの人が箸で寿司を食べます。
こちらは日本全国から人が集まる場所柄、平均的に収束した数字だと言えます。
素手で食べる派の方は、手をよく洗ってから頂きましょう。
寿司に特化した食事マナー
あまり知られてない寿司特有の食事マナーは多いです。
大人のたしなみとして覚えておくと、いざ鮨屋に行った際に役立つかもしれません。
1.味が薄いネタから食べる
本人の食べたい順番でOKですが、せっかくの寿司を美味しく頂くには薄い味のものから食べると良いです。
先に濃い味のものを食べてしまうと、薄い味の繊細な部分を感じ取れなくなってしまいます。
一般的には、盛り付けてある左の方から食べる事が良いとされてます。
2.醤油をシャリに付けない
寿司を醤油に付ける際、逆さまにしないでシャリの底を醤油に付ける方が居ますが、これだと醤油を吸った米粒が醤油皿にベチャベチャ残留して、見た目が好ましくなくマナー違反です。
ネタに少量の醤油を付けて液垂れしない様にして、お口へ運びましょう。
醤油皿にワサビを溶かす行為と、ネタだけを引っぺがして醤油に付ける行為はNGです。
3.寿司一貫を一口で食べる
女性でたまに一貫を半分ずつ食べる方が見受けられますが、出来れば一口で食べましょう。
寿司職人が握ってくれた鮮度の良い寿司を、鮮度を損なわない内に食べるという事が客側のマナーとされてます。
4.寿司を口に運ぶ際の向き
握ってあるそのままの向きで口へ運びがちですが、逆さまにして口の中へ運ぶのが正解です。
人間の味覚は舌にあるので、ネタの味をよりダイレクトに感じ取れるという意味で、寿司の向きは逆さまにして頂きましょう。
この方が美味しく感じるはずです。
※なお、手皿はNGです。
5.香水は厳禁
これは直接の食事マナーではないですが、鮨屋に行く際は香水は控えましょう。
鮨屋に限らず飲食店に行く際は、他のお客様の迷惑になる事必至です。
ニオイの観点で、愛煙家の方は店内でのタバコは我慢しましょう。
江戸前寿司を素手で食べるルーツ
昔から素手で食事をする、いわゆる『手食文化』という概念があります。
これは現代でも存在する文化で、アフリカ・中東・インド・東南アジアなどに多く見られ、世界規模で見ると現在でも半分近くの人が箸やフォークを使わずに手で食べます。
先進国から見ると原始的で野蛮に感じますが、手食文化圏の人の考えは道具を使って食べるより手で食べた方がダイレクトに味わえて、食事方法としてむしろ優れてると考えています。
日本では、奈良時代に中国から箸の文化が伝わる以前は手食文化がありました。
平安時代くらいになると一般庶民にも箸を使って食事する文化が定着して、実際に平安時代頃の地層から箸が大量に出土されてます。
寿司に関しては、言わずもがな江戸時代に大流行しました。
いわゆる江戸前寿司です。
当時の寿司は、高級な食事というよりかは「軽食・おやつ」というニュアンスが強く、屋台で庶民が手でつまんで食べられてました。
この名残りとして、寿司を素手で食べるという文化が色濃く残ってると言われてます。
さすがの平賀源内でも冷蔵庫は作れず冷蔵技術が発達してなかったので、余った寿司ネタは翌日になると天ぷらにして食べられてたそうです。
天ぷらはバカ受けして、一説によると徳川家康は天ぷらの食べ過ぎで死んだという噂です。
江戸は参勤交代で全国から人が集まる町だったので、飲食店が多かったと言われてます。
今日の東京が日本の首都として栄えているのは、江戸独自の食文化の発達も寄与してるのかもしれません。
以上、寿司を素手で食べる件について書きました。
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